さすがにそりゃーないわ

もう少しワールドワイドに考えるべきなんじゃなかろうか。というか、これは僕の気持ちでもあるんだが、30代ぐらいの人、特に、尊敬できそうな人には、そういう視点でいてほしい個人の希望を持っていると前置きしてきつつ本題。


何がないかといえば、何というか、視点が日本にしかいってないよなぁって思ってしまったから。

リーマンは救済されなかったがFRBAIGに繋ぎ融資して、不良資産の政府による買い取りを数十兆単位で検討しているという。日経朝刊には「ドル信任喪失を警戒」とか書かれているが、中央銀行がバランスシートを膨らませて投資銀行だの保険だのまで所有して、どうするんだろうね。日本の金融当局を護送船団呼ばわりしていた連中の厚顔無恥っぷりには腹が立つが、だからって市場にお任せされても周りだって困るんだろうし。

流動性云々も分かるが「俺の儲けは俺のもの、俺の損はみんなのもの」って金融界の驕りは如何なものか。デリバティブとかサブプライムとか、難しい片仮名と数式や錚々たるロケット科学者に騙されそうになるが、結局のところ仕入れの安い高リスク債権を普通の債権にまぶして上の等級のラベル付けをして間抜けに買わせるって、本質的なところで牛肉偽装や耐震偽装と何が違うのだろう。理論武装がご立派で世界経済を人質に取っているかの違いでしかないのではないか。

裁定取引が市場の流動性を高めることは教科書的な説明だが、成長し続けるために途中から裁定すべき市場の歪みに飽き足らず、リスク計算の歪みや格付け会社の調査能力や利益相反に付け込んで、情報の非対称性や市場の歪みをでっち上げたことはモラルハザードとも考えられる。やっている当人たちに自覚とか悪意があったか気になるところではあるが。

泣いても笑っても日本・アジアの対米輸出は減って、アジアへの生産財の輸出も減るのだろう。いまは対岸の火事だが、遠からず資産の痛んでいる日本の金融機関とか、身の丈に合わない借金をしている事業会社も追い込まれるのではないか。GMの扱いとか間違うとナショナリズムを刺激するだろうし、次期大統領の対日政策へも影を落とすかも知れない。

大学で経済を学んでいながら起こっていることの全体像が見えず、ああすべき、こうすべきといった論議ができない自分に不甲斐なさを感じるが、渦中の人々も走りながら考えているのだろうし、まだ何かの終わりの始まりでしかなく、僕らにどういったかたちで火の粉が飛んでくるのか実感が湧かない。例えば津波警報が出ているとして、今のうち高台に避難しようにも、どっちに走れば安全かも皆目見当がつかず、毎朝不安げに新聞を眺めては思案するのである。
嵐の前の静けさ - 雑種路線でいこう

例えば、この金融危機アメリカ国内に閉じてるものだったら同意できるんだけれども、残念ながらことはそう簡単じゃなかったし、というか、全世界の人がつらい思いを現在はしてるわけで、この状況でアメリカがモラルハザード関係ねーよって言う姿は英断だし、少なくとも十数億人にとってはうれしい出来事なんじゃないのかな。そういう世界の空気は読むべきじゃね?つーか、今の日銀の状況とか日本の政策とか、世界の人からKY扱いなんじゃないかと不安で不安でしょうがないよ。日本が頼られない理由だよね。
当時の日本の政策を馬鹿だといってたとか、対日政策がどうとか、そういう次元で考えるのはどうなんだろうなーってやっぱ思う。今の行動が今後の数十年に大きな影響を及ぼしかねない状況下で、そんなちんけな話をするのはもうやめようぜと見えちゃうよ!